大津さん

昨日、香港島に行くフェリーの中で大津幸四郎さんの逝去にふれた。
言葉を失い、フェリーの窓の外に視線をやると雲の割れ目から光線が注いでいた。

私にとって大津さんは、現場でも飯場でも分けへだてのない人でした。
熊谷博子監督作品の「三池」で大津さんが奥井さんと古い写真を物撮りをするときに、
熊谷さんから「人手が足らないから来て」と呼ばれて、大牟田市の石炭博物館に行くと、
会議室の奥で新聞を熱心に読んでいる、襟元を三つ編みをした髪の大津さんとお会いした。
初対面だったけど、その撮影された作品群は拝見していたので、緊張して話をしたのを覚えている。
2003年3月20日イラク戦争開戦のその日だった。
その後も熊谷宅や試写室やスタジオなどでお会いした。

2006年と2007年に、藤原敏史監督作品の「fence」で大津幸四郎さんの助手として現場を踏ませてもらったことが、
今となって貴重な経験だったということ改めて想いなおしました。
最期にお会いしたのは、「撮影術 映画キャメラマン大津幸四郎の全仕事」にサインを頂いた時でした。
心からご冥福をお祈りします。
大津さん、ありがとうございました。