「花と兵隊」制作ノートが出ます。

9月中旬に「花と兵隊」の制作本が出ます。
『ぼくと「未帰還兵」との2年8ヶ月――「花と兵隊」制作ノート』

松林要樹/著
四六並製 256頁 定価:本体1600円+税
ISBN978-4-88683-656-4

このブログの文章を使って、制作過程をお知らせしてたけれど、
本にしたいと思った動機は、映画では伝えきれなかった部分の捕捉と書いていた。
そもそも、映画で全部で撮影した時間は170時間。
しかし、編集を始める前に100時間を絞った。
つまり、実質およそ70時間の映像を編集した。
日常会話など、映像に映っていない部分が、映画を作る過程で重要だった。

取材に応じていただいた6名の皆さんの生い立ちから出征まで。
そして、現地でどういう家庭を築いたのか。

子や孫からみた父親や祖父としての未帰還兵の姿。
ぼくにとっての身近なビルマ戦線体験を聞かせてくれたビルマから帰還した大伯父の話など。
取材はしたけれど、編集する前の段階で落としたシーンが多かった。
それが心残りになっていた。
たとえば、藤田さんのところに通っていたのは、30回程。
一緒に藤田さん主演の今村昌平監督の未帰還兵シリーズを見たり、
飯を食ったり、泊まりこんでみたり。
いろんなことがあったけど、映画では省いた。
また、坂井さんの家など亡くなった後も泊っていたので、50日ほどいた。
しかし映画の中では、藤田さんは、25分程度の登場。坂井さんも30分程度。
なかなか思いを伝えきれなかった。

カメラが回るまでどうやって関係が築かれたのか。
見ている方には、いろいろと疑問があったと思う。
それと、東京の3畳間で生活しながら、どうやって映画を作ったのか。
その辺を赤裸々につづっています。

特に最後まで落すかどうか迷って、構成から省かれたシーンを書いています。
坂井さんのマカロニの話や、藤田さんの正月の話。
藤田さんの孤独な男の人生を、背中で語るシーンが好きだったけど
構成を考えているうちに落とした。

映像からはみ出た部分を本で補いました。
ぜひ、読んでいただければと思います。
よろしくお願いします。
『ぼくと「未帰還兵」との2年8ヶ月――「花と兵隊」制作ノート』