「三池」

motokiM2006-03-26

4月1日からポレポレ東中野で「三池」―終わらない炭鉱の物語―という映画が上映される。
http://www.cine.co.jp/miike/
4年前、映画学校2年のとき、僕は、学生運動の推移を調べていた過程で、労働運動に関心を持ち、福岡県の三池炭鉱を知った。僕の地元が大牟田と近い場所でありながら、まったくその歴史の深さと現状を知らなかった。
その歴史を調べるうちに、なんとしても作品を作りたいと突き動かされた。三池労組の組合員だった宗邦洋さんと知り合い、作品を作るに至った。
今回、ポレポレで上映されるのは、僕の作品ではない。
唐突な情報だけで、何がなんだかさっぱりわからないと思う。要するに映画の宣伝です。しかし、本当に心に残る映画だった。
僕が取材しているときに、今、同時期に三池を撮っている女性監督がいるという話を取材先で何度も聞いた。その人は熊谷博子さん。ベテランの女性ディレクターですよと。
本題に戻る。その熊谷さんと3年前大牟田市石炭産業科学館で会った。その後、熊谷さんと交流を深め、何度か現場やご自宅に行った。熊谷さんの作品が、今度、ポレポレ東中野で上映される。
なぜ今三池の映画なのか。その問いを抱いたまま映画館に足を運べば、何が映画で表現されているのか、それぞれが発見できる。日本最大の炭鉱であった三池で何があったのか、そして、日本がいかにして経済成長したのか。
あまりにも大きい題材の三池。そして、いろんな媒体に発表された三池。町が背負っている歴史があまりにも大きいすぎる。三池を描いたテレビ番組はたくさんある。しかし、どこかの時代に焦点を当て、そこから三池炭鉱の全体を感じさせる。しかし、この作品のすごいところは、その歴史を含めて全体像に真っ向から挑戦している。なんと言ってもこの映像作品を大牟田市が企画・製作している点だ。
何がどうすごいのか、行政が映画を作った。それだけでも非常に画期的なことだ。行政が作る映画とは、なにか啓蒙的なイメージが先行しがちだ。しかし、この映画を見れば、わかる。映画を通じて、町の歴史に正面から向き合おうとしている。正々堂々と映画がある。
三池炭鉱に関わったあらゆる人の言葉を拾い集めている。あらゆる人の炭鉱町で暮らしていた時代の外的偶然と、人の営みの内的必然を、そのまま一人ひとりの言葉で見せる作品だ。
見ている間、何度も涙があふれ、悔しいほどいい作品だった。