カンボジアでの田原総一朗賞 授賞式

現在、ぼくは次回作の準備のためにカンボジアプノンペンにいる。
その準備のため、今回の授賞式の参加がかなわないのがとてもつらい。
先週末に行われた山路ふみ子映画福祉賞ときも参加がかなわなかった。
授賞式に出れることなど、次はないかもしれないので、もったいないと思っていた。
それで、昨日、田原総一朗ノンフィクション賞の授賞式が行われた。
いつも参加できないので、代わりにプロデューサーの安岡さんに行っていただいている。
まったく参加が出来ないというのは残念だからということで、
一昨日に、10フレームにこま落としした圧縮した1分程度の映像を日本側の安岡さんに送った。
三脚をシアヌークビルという町の中にたてて、ひとりでカメラに向かって
喋っていたら、興味を持った子供に囲まれてしまう。
映像を宅ファイル便でそのまま送った。
そのあと、メールで打ち合わせをして、それだけではもったいないから
田原総一朗ノンフィクション賞・奨励賞の授賞式に電話で参加したほうがいいとなった。

急いで、携帯の準備を始めた。
だが、シアヌークビルのインターネットをはじめ通信事情が悪く、
携帯のSIMカードを買いたいといえば、60ドルするとぼったくってくる。
頼みに行った時間が夜遅く、他に当てがないと、足元を見ている。
そのホテルの据付の電話も頼りない。
それなら、首都に移動した方が便利だろうと思い、昨日の早朝、プノンペンに移動した。
約10年前にカンボジアに来たときは、もっとものがなく、物騒な感じがしたが、
今は、当時と比べるとそんな感じがしない。
以前、行ったことがあったレイクサイドにゆく。
前は、きれいな池があったが、今回埋め立てられているところを目にし驚いた。
宿のスタッフに頼むと、携帯電話のSIMカードを10ドルで購入した。
やはり、ものがあるところは、安いのか。
購入後、日本側の安岡さんと連絡が取れた。
音声技術が出来る安岡さんは、受賞会場のスピーカーとカンボジアの携帯をつなげてくれた。
会場と同時で話が出来る状態になった。

しかし、日本時間で午後5時、カンボジア時間で午後3時に授賞式が行われる。
電話の前にすわって、カンボジアの宿の中で一人で待っていた。
しかし、いつ電話がかかってくるか分からない中、落ち着かない。
本を読んで、気をそらそうとするが、電話の音が出るようになっているか、
マナーモードではないか、そんなあほなことが気になり、携帯をチェックする。
それで、本を読み始めたが、なかなか電話もならない。
次回作のテーマは、形になるかまだ分からず、
きちんとはまだ言えない状態なので、聞かれたらどうしようかとか、不安にもなる。
電話の前にじっとして1時間半ほどたった現地時間午後4時26分、電話が鳴った。

ずっと緊張していたので、急に出番が来て、何がどうなっているか分からない。
すっかり何を言ったか分からない。
電話の向こうでテレビの向こうで慣れ親しんでいるあの声の
「田原ですけど、受賞おめでとうございます」と言われた。
「とてもうれしいです。ありがとうございました」とこたえた。